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31話 粛清

last update Date de publication: 2026-07-04 05:35:55

「出せ」

九条征哉がそう言うと日下部さんが頭を下げる。

「すぐに」

そう言って数人の部下が静かに入って来て、呻き泣いている多田を病室から引き摺り出し、日下部さんが一礼して扉を閉める。

九条征哉が溜息を一つつき、言う。

「美織……」

そう言いながら私の前まで来て、私を抱き締める。

「自分の命を粗末に扱うな……頼むからこれ以上傷を付けないでくれ……」

そう言う九条征哉に私は笑う。

「あんなに小さいナイフじゃ、死なないわ」

実際に多田が持っていたナイフは小さい。あれが刺さったくらいでは命に危険は無い。まぁ、私はそのナイフを自分の首元へ突き付けさせた訳だけど。私を抱き締めている九条征哉が何を考えてそう言っているのかは分からない。

せっかく手に入れた玩具を他人に傷付けられるのが嫌なのか…&hel

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  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   6話 密偵

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  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   5話 業火と未練

    目の前で。オレンジの炎が燃え盛っている。夜空に映える炎のオレンジ色はその触手を天に伸ばし、更に炎自身が燃えるものを探している。炎の触手の先からは黒煙が立ち上り、夜空の星を覆い隠す。私を閉じ込めて、絶望の淵へ追いやった療養所という“檻”は、今はもう燃えながら歪み、崩れ落ち、灰と化して行く。「お嬢様」及川が私の横に立つ。「今この瞬間からお嬢様は灰になりました。もう一ノ瀬家の令嬢ではございません」全ては燃えて灰になった……私と一ノ瀬家の縁も、そして未練も全て燃えて灰になったのだ。思い出されるのは幼い頃の記憶――お母様が生きていた頃は……私もお父様に確実に愛されていた。お母様とお父様

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   4話 絶叫

    及川は私を見つめ、頷く。「お嬢様、生き延びてください。それもあなたのお母様の最後の願いなのですから」そう言われて私はポロポロ落ちる涙を拭い、聞く。「私は、何をすれば?」及川が簡潔に言う。「時間がありません。今すぐにお嬢様のお召しになっている服とネックレスを外して頂けますか」及川はそう言って自分の足元にある遺体袋を見る。「この遺体にお嬢様の服を着せ、ネックレスをつけさせます。そうすればお嬢様は死んだ事になり、万が一にも生きている事が知られたとしても、その時にはお嬢様はここから遠い地へ離れている事でしょう」及川は私に紙袋を渡す。「着替えは中に」その紙袋を受け取る。漆黒のワン

  • 灰になった令嬢は宿敵の腕の中で牙を剥く   3話 一筋の光

    目が覚める……。チカチカと視界が霞む。寝かされている場所は……色味の無い部屋……? (ここは……どこ……?)(昨日のあれは……夢だった……?)微かな希望だった。昨日の夜の事は私を襲った悪夢、そう思いたかった。けれど。

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